放物線座標
さすがに体重計のあれはふざけたので、ちゃんとしたことを書かないといけない気がしている。
なぜか二月はコンスタントにアクセスが記録されているので、なんか真面目なことを書かないといけない義務感に襲われているのである。
昔は良かった、アクセスがほとんど0だから好き勝手できた。(あんまりしてないけど)
(とりあえずありがとうございます)
Landauのセクション48に、放物線座標によってHamilton-Jacobiの方程式の変数分離できるバージョンを解いてみる、というコーナーがある。
そこでは、
「円柱座標(この節ではと記す)から放物線座標への変換は、公式
によって行われる。」
と書いてある。
Landau先生は頭がいいのでこういうことをさらっと言及するのだが、放物線座標に馴染みのない自分は「why.」としか思わなかったわけである。
で、大学図書館にあるベクトル解析の本の「曲線座標」の項目を漁っても、似たような言い回ししかしない。
結局、自分で考えることになった。
その日の力学の進捗を潰して考えた結果なぜこう変換するのかわかったので、めも。
まず、放物線座標には二種類ある。
・回転放物面座標
・放物柱座標
である。
前者は、上に凸、下に凸のもの、合わせて2つの回転放物面を用意して、その二つの面の交点の集合を持ってくる。(これは円になるらしいが、楕円にならない理由がわからん)
で、その交点の集合のうち一点を方位角で指定する、というやり方である。
後者も説明しておこう。これは、z=constの平面内における放物面をz方向に重ねると放物柱ができる。これの上に凸、下に凸のものをそれぞれ持ってきて、交点の集合を持ってくる。最後に、zを指定してあげる、という方法である(と解釈した)。
今回は回転放物面座標の話である。
便宜上のため、球座標からの変換を考える。
この時、数式
は、eの値により変わるものの二次曲線を表す。特に、が放物線である。(原点が焦点だったはず)
この表式はケプラー問題で天体の軌跡を導出する際の積分の結果でもあるが、この積分の途中で
みたいな表式が出てくるはずである。A,Bは適当な定数で、である。
で、ここで積分のための変数変換(しなくてもいいんだろうが)
を施すと
となる。
で、このxをrの表式に戻す時、数学的にはのどちらをとってもいいはずである。逆余弦関数の定義域は-1以上1以下なので、適当な定数の元では大丈夫。(なはず)
つまり、この積分からは、
だけでなく
も現れる。
放物線の場合はである。よって、この式の中で任意に動かすことのできるパラメータはpである。(pは0以上のみ)
1本目の式のpを、2本目の式のpをとおけばいい。
以上から
という球座標から回転放物面座標への変換式が導出できた。
この式は球座標からの変換なので、円筒座標に書き換えることはそんなに難しくない。
適宜式変形すると最初に示したLandau先生の言っている式が示される。
回転放物面座標は、量子力学でCoulomb散乱をやるときにCoulomb波動関数を計算する際に導入するらしい。らしい。僕は知らない。
なんで3種類ある量子力学の授業の3つ目を取らなかったのだ。馬鹿かよ10月の俺。
今後
・このやり方は物理という側面からアプローチしているので、あまり数学チックではない気がする。放物線の極座標表示を最初から使ってもいいんだろうが、e=-1というのは正直聞いたことがない。回転放物面座標の変換式の数学チックな導出も知りたい。でも、僕は物理の人間なので、このやり方でそこそこ満足はしている。
・同様のやり方で放物柱座標も考えられる!と思ったのだが、それでは指定される座標が2点になってしまい、絞りきれない。さて、どこが間違ってるんだろう。
・楕円や双曲線をフル活用した曲線座標もある。多分同様のやり方で、離心率eもパラメータとして変えることで導出できるだろう。あまり自信はないけど。
・Landau先生の本では、放物線座標の話の直後に楕円座標の話を始めているんだが、わかりそうにないのでskipしてしまった。そのうちやらなければならない。